さて今回は生活保護の申請の実際の手続きについて、私自身の流れをありのままお伝えしておきましょう。
役所で面談、というとやたら敷居の高いイメージがあったり、私自身もそうでしたが「難しそう」「面倒くさそう」と感じてしまいます。
しかし、いざやってみると現実にはとてもカンタンで「えっ?それだけ?」というものでした。
別でも書きましたが、私はそのときはあくまで『問い合わせ』的に相談に行ったつもりだったんで、なんの準備もなく思いつきで窓口に行っただけ。どんな対応されんのか、先々使うための条件だけ聞いとくか…的な気持ちですね。
それがあれよあれよと話が進み、予想外にあっという間に申請が済んでしまいました。
今回はそんな一連の流れをご覧ください。きっと「なんか自分でもできそう」と感じることでしょう。
※自治体により対応に差があるため、必ずしも記事と同じようになるとは限りません。しかしコロナ禍以降はほとんどの地域で所謂「水際作戦」的なものは無くなっているようです。
▪️きっかけは転居手続きのついで
居候先の主である元嫁の計らいで「予想外に住所を手に入れることになった無職」それが私です。ただ無職でいきなり追い出されて、家賃とかどないせえっちゅうねん…元嫁的には強制的に働くしかない環境に出せば、自然と定職に就くと思っていたようです。
とはいえ、現実には過去の債務の精算もしておらず、直近のライターでの稼ぎだったりで税金面でも就職するにも難が多い身の上。自分としては彼女の期待通りにいくとは思えません。
生活費や家賃の負担を背負わせるわけにもいかないし、またライターで無理矢理稼ぐか…とか考えつつ、とりあえず転居手続きをしに市役所へ。
転居手続き中に前の住所は除籍されててぇ〜とか普通に伝えてたら、担当者さんも最初は「え?」となるものの、あとは淡々と復活手続きをしてくれました。
なんか事情とかいろいろ聞かれるんかなぁ…とか不安だったんですが、転居手続き自体はその後とくに何も聞かれず淡々と進んでいくわけです。
受付の人の事務手続き待ってるときにふと周り見渡したら『生活相談課』のプレートが下がった窓口が視界に入りました。
"そういや生活保護って手もあるな…どんな条件かだけでも聞いとくか"
先々の家賃滞納とかの対策のためにも知識だけ入れとこう程度に、転居手続きが終わった案内とともに受付の人に軽く会釈をして、何の準備もなく生活相談課の窓口に向かっていく私。
▪️生活相談課の対応
「あの…」
窓口付近で目の前に居た人に声をかける。
「どうされました?」
30代くらいのいかにも真面目な公務員って感じの男性が聞き返す。まぁ言葉ではどうしました?って言ってても、ここ来る新顔は生活保護の申請しにきたってわかってて言ってるのは理解できた。
「生活保護について聞きたいんですが」
そう言うと慣れた感じで「お待ちくださいね」と言って窓口に座るように促され、奥にいた小太りの別の男性のところへ行って耳打ちしている。
すぐに小太りの男性が別の女性の職員さんに声をかけたあと、棚から何かの資料を探して小脇に抱え、2人で窓口の対面に座った。
「今の状況をお伺いしても?」
そう小太りの男性職員に言われ、とりあえず今は無職だか住所なくて失業保険も貰えなかったことなどを伝えていくことに。質問する小太りの男性の横で女性の職員さんは黙って相槌打ちながら、仕事辞めた時期や過去の借金のことなど、必要なワードについてメモだけを取っている。
「…まぁこんな感じで困ってまして」
そんな感じでまとめたところ、女性の職員さんが初めて口を開いた。
「大変でしたね。もう大丈夫ですよ。まずはここで生活保護の申請をしておきましょう。」
「えっ?」
そこから"で、生活保護ってどんなふうにしたら受けられるんですかね…"と尋ねようとしていた矢先の予想外の言葉に少し動揺する私。
「申請って今できるんですか?」
そう尋ねると、小太りの男性と女性職員さん2人で大きく頷いて、小太りの男性から「1時間くらいだけ時間ありますか?」と聞かれる。
「まぁ無職なんで時間だけは」
そう返すと2人とも笑って「ではもう今日済ませちゃいましょう」というノリで手続きが始まりました。そこからは別室に案内されて、そのまま申請することに。
別室では借金や現状についてより具体的に聞かれることになりましたが、それでも時期などはかなり曖昧でも問題なく、小太りの男性いわく「履歴書同様に時期に空白なく埋まればいいんです」とのことらしい。
職歴や借金から夜逃げして住所不定になった経緯などはだいたいの時期で回答しておけば基本問題はなく、唯一の心配は"今までどこに居たのか"という一点だけだった。
ここ深く突っ込まれたらどうしようかな、と思いつつも次のように答えてみた。
「知り合いの家を転々としたり、ネカフェやスーパー銭湯で過ごしたりですね」
もしかしてこれも時期とかで聞かれるのかな?辻褄合わせる話まったく考えてねえわ…と警戒しましたが、小太りの男性の回答は意外なもので
「なるほど、わかりました」
で終わり。その後は女性職員さんから生活保護の案内を見せられながら説明を受け、ついでのように出された数枚の書類に言われるまま名前と新しい住所を記入していくのだが、ここでひとつの疑問が生じることになる。
「あの…」
問い合わせのみのつもりで行ったのもあり、今がどんな状況なのかよく理解できなかったので、勇気を出して小太りの男性に尋ねる。
「これってもう生活保護の申請できてるんですかね?」
男性はにっこりと微笑んで「はい、もうあとはこちらが提出して審査が終わるのを待つだけです。」
なんと自分でも気付かないうちに申請が済んでいたわけである。
▪️予想外のナマポ(生活保護)デビュー
問い合わせのつもりがそのまま生活保護申請終わってしまって拍子抜けした私。
「そういえば食べ物とかあります?」
ふいに女性職員に聞かれ、まだ居候中でとくに困ってはいなかったけど"無い"と答えたらどうなるのか?そんな興味本位でそんな答えを返してみた。
すると「少しお待ちくださいね」と行って部屋を出ていき、しばらくすると年配の男性が代わりに入ってきてまた書類に記入を求められた。
言われるがまま記入していると、別な年配の女性職員が大きな袋を2つ抱えてやってきて、先ほど名前を書いた書類に記載された内容と照合し始める。
「問題ないですね」
そう言って年配の男性に書類を返すと、その人はすぐに居なくなってしまいました。
袋の中身は2週間分の非常食。調理器具がない前提なので缶詰にレトルトや乾麺などが主体で、賞味期限の近いものをまとめたものとはいえ、これはなかなかすごいシステムだなと感じた。
きっと世帯状況によっては米とか味噌とかもあるのだろう。食品ロスを防ぐ団体フードバンクのおこなう食料支援ってやつだ。
とりあえずさまざまな理由で食べ物に困っている人は、ぜひ一度役所やフードバンクに問い合わせて欲しい。
これらは今、小腹が空いたときのオヤツ程度に活躍している。大した金が手元になくとも、食い物あるとあまり苦にはならないもんだなと知る。
それこそタバコとパチ屋行く以外、金使う用事なんてここ数年確かに無いしな。
そんなこんなでいつのまにか申請そのものは終わっていたため、待たされた食料を抱えて役所を後にする。
よく見てた"水際対策"ってあれはほんとにあってんの?ってくらい、逆に無知なままで役所主導でいつのまにか申請終わっててとてもラッキーだった。
▪️生活保護申請はとてもカンタン
今回は実際の生活保護申請の流れを、やりとりもほぼそのまま書いてみました。
そんなアホな!と思うかもですが、ホントにこんな感じで自分でも予想外に申請が済んでしまったのです。
もちろん地域差もあると思うので必ずしもどこでもこんな対応とは限りません。
それでもコロナ禍以降は以前のような"申請に厳しい"イメージは、全国的に消えつつあるのではないでしょうか。
もし今ホームレスやネカフェ難民などでお困りの方居ましたら、なんの準備がなくとも構わないので、迷わず役所に駆け込んでください。
え?今までなんでこんなに苦労してたん?って感じるほど世界が変わります。
これは母子家庭などで困窮されている方にも言えるかもしれません。ギリギリの家計で頭抱えるくらいなら、生活保護申請して同じギリギリの家計でもお子さんとの時間に不安がなくなるようにしてみませんか?
仕事休んだら減給されるからとかいう不安は、生活保護費で不足分を賄うことの余裕でなくなります。支給上限はありますが、逆に言えばその上限は保証されているということ。
限られた時間でパート頑張って月に幾らも使えないというならば、生活保護を受けてお子さんとの時間に余裕を作りつつ、在宅ワーカーとしての勉強を始めてみてはいかがでしょう?
金と同じくらい人間の可能性を広げる資産は「時間」です。
どちらも失うだけの毎日を送るくらいなら、ここはひとつすぐに手に入る"時間"という資産を、将来のために活かす手も知っておいてください。
それができるのが使い手次第で終焉の場にも再起のステージにもなる生活保護というシステムなのです。
すぐにでも必要だけど申請が面倒くさそう…と思っているだけのアナタ、そんな時間さえ勿体無いと後から後悔するほどカンタンですので、まずは行動してみましょう!